ミバエ科の標本を整理しているうちに、表題の「シラホシハマダラミバエ」と「タテジマハマダラミバエ」の学名と区別が混乱したので、こちらに整理してみました!
ちなみに、タテジマハマダラミバエだろうな、と思っていたNo.774。翅の模様が複雑ですが、左右でも柄が違うので変異のような気がします。結論として、このNo.774は他方のシラホシハマダラミバエだと結論付けられました。なんてこったい。
※2026/02/18追記
双翅目の神掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」で相談したところ、市毛様より「タテジマハマダラミバエです」とコメントをいただきました。http://diptera.jp/usr/local/bin/perl/dipbbs/joyful.cgi?list=pickup&num=12106#12106

まずは、各所に記された学名をざっくり調べてみました。以下各種をシラホシ、タテジマと呼ぶことにします。
| 文献名 | 年代 | シラホシ学名 | タテジマ学名 |
|---|---|---|---|
| 原色昆虫大図鑑 | Acanthonevra trigona | Acanthonevra formosana | |
| 福井県昆虫目録(第2版) | 1998 | Lenitovena trigona | Lenitovena pteropleuralis |
| ハエ目 Diptera (丹沢大山総合調査学術報告書 丹沢大山動植物目録) | 2007 | Acanthonevra trigona | Acanthonevra formosana |
| 愛媛県のミバエ科 | 2010 | Lenitovena trigona | Lenitovena pteropleuralis |
| 松山市産ハチ・ハエ類目録 | 2012 | Lenitovena trigona | Lenitovena pteropleuralis |
| ハエハンドブック | 2024 | Acanthonevra trigona | Acanthonevra formosana |
| iNaturalist | 2024前 | Acanthonevra trigona | Acanthonevra formosana |
| iNaturalist | 2024後 | Acanthonevra trigona | Rioxoptilona formosana |
ざっと、こんなものです。学名があちこち変遷しているのがわかると思います。基本的には両種とも同属扱いですが、iNaturalistは2024年にタテジマをAcanthonevraからRioxoptilonaに変更しています。
ここで浮かんだ疑問として、
ということ。
業界の決定があるのかはわかりませんが、おそらく結論としてはどれも間違いではなく、どの研究を基準とするか、みたいなところだと思います。
以下、Geminiにまとめてもらいました。間違い注意です。
これまでの研究(Ito 1984, Korneyev 1999, 2023等)をまとめると、以下の3段階のステップに整理できます。
ステップ1:広義の Acanthonevra 属時代(〜1980年代前半) かつて、翅に複雑な斑紋を持つハマダラミバエ類の多くは、便宜的にAcanthonevra 属という大きなグループにまとめられていました。シラホシハマダラミバエ(trigona)もこの属に含まれていました。
ステップ2:細分化と Rioxoptilona 属への割り当て(1980年代〜1990年代) 研究が進み、刺毛(毛の配置)や翅脈の微細な構造の違いから、属を細分化する動きが強まりました。 タテジマハマダラミバエ: 翅の模様が Rioxoptilona 属の特徴(放射状の紋など)に似ていたため、Rioxoptilona属として扱われることが多くなりました。 シラホシハマダラミバエ: 伊藤修四郎(1984)により、新しい属Lenitovena属が提唱され、ここに移されました。
ステップ3:現在の Lenitovena 属への再編・確定(1999年〜現在) Korneyev (1999) やその後の再検討により、タテジマハマダラミバエも、形質的に Rioxoptilona よりも Lenitovena に近いことが判明しました。 結果として、かつて Rioxoptilona や Acanthonevra に置かれていた種がLenitovena属に統合・整理されました。 現在、日本産目録等では、両種ともに Lenitovena 属として記載されています。
論文Hancock, David (2011)より抜粋して整理してみました。